「THE BEYOND -成長を楽しもう- 」へようこそ!!!
「THE BEYOND -成長を楽しもう- 」のメンバーとなったみなさんは、自分の人生に真剣に向き合い、成長を続け将来活躍したいと考えている人たちだと思います。
今後グローバルに活躍したいと漠然とであれ考えている大学1、2年生から、商社への就職を希望し就職活動をおこなっている大学3、4年生、さらに商社に入社しこれから飛躍を遂げたいと考えている商社若手社員まで、さまざまな方がおられることでしょう。いずれにしても自分の意思で「成長への第一歩」を踏み出したことは大変すばらしいことだと思います。
本コンテンツでは、現在商社がおかれている環境を踏まえ、第2部で「次世代商社の3つの人材要件」について、第3部で「大学時代に身につけるべきこと」について詳しく説明していきますが、その前提として、まず第1部で「仕事と成長」について、一般的な考え方と私自身の経験を紹介し、説明していきます。
まず第1章では「働く理由」について説明します。正解のないテーマですが、本質的で重要なテーマです。
【この章で学ぶこと】
・働く理由や動機について自分なりに深く考える意義を理解する。
「あなたはなぜ働くのか?」
これは就職活動において、志望する業界や企業を検討する際に軸となる問いですが、なによりも自分の人生に大きな影響を与えるもっとも本質的で、もっとも重要な問いであると言えます。
さまざまなアイデアが出てきたと思います。人によって「得られること」「大変だと思うこと」はそれぞれ異なるでしょう。「大変だと思うこと」がたくさんあっても、それ以上に「得られること」があれば、その業界・企業を志望する動機になるのだと思います。
働く理由や動機の代表的なものは以下のようなものでしょう。
①「大学を卒業したら働くのは当たり前」という社会通念的な動機
②「一流企業で働くのは鼻高々」「両親の期待に応える」というステータス的な動機
③「給料や福利厚生」という経済的な動機
④「会社の中で偉くなる」「会社で出世する」という権力的な動機
⑤ 将来の夢の実現のためのステップとして、知識・スキル・ノウハウを身につけるという足がかり的な動機
などです。他にもあると思います。
働く理由や動機は、時代背景や、その人の人生観・価値観、おかれている環境によっても異なります。企業への就職か、独立起業を目指すかによっても異なります。どれもその人にとって正しいものでしょう。また、答えはどれか一つというよりは、いくつかが混ざり合う複合的なものであると思います。
私が就職活動したのは1990年代の中頃ですが、当時の自分自身のことを振り返ってみます。
①社会通念的な動機
当時私は、大学卒業後は一般企業に就職するのが当たり前だと思っていました。友人も公務員や家業継承を含め、卒業後は働くのが当たり前だと考えていました。ただ、のちに知ったのですが、欧米では必ずしもそうではないようです。大学卒業後に世界一周旅行をして知見を広げたり、興味のある業界・企業でまずはインターンとして働いてみたり、文系であっても大学院に進学して専門性を磨いたりしている人は多いようです。
②ステータス的な動機
当時の世の中には、「大企業>中小企業>ベンチャー企業」といった企業の序列に関する価値観があったように思います。現在の価値観とは異なりますが、当時ベンチャー企業は、高い技術力や将来性を有していても、安定性や知名度に欠ける存在として認知されていたように思います。当時は、世間に名前が知れ渡っている大企業に就職するのが一種のステータスであり、今振り返ってみると私もそのような価値観で企業選びをしていました。また企業に就職せず、モノづくりの職人に進む道もありますが、当時はそのような選択肢があることすら頭に浮かびませんでした。
③経済的な動機
経済的な動機は間違いなくありました。やはり給料は低いより高い方が嬉しいし、福利厚生も充実していた方が良いと思っていました。ただ、私は経済的な動機はさほど重視していませんでした。理由は、この動機を突き詰めていくと、給料は高いけど意味もなく超多忙な会社を選んでしまいそうですし、同じ給料をもらえるのであれば「いかにラクをするか」といった効率性にばかり目がいってしまいそうだと考えたからです。また、おカネは使ってしまえば後に残らないので、そればかりを追い求めてもしょうがないと考えていました。
④権力的な動機
私は上昇志向が強い方なので、権力的な動機も多少ありました。どうせ働くのであれば、有名な大企業で働き、そこで評価され、より高い役職に就きたいと思っていました。ただ、その役職から外れた途端に「普通の人」に戻ってしまうので、追い求めるものとして「権力」は違うのではないかと考えていました。
⑤足がかり的な動機
足がかり的な動機はまったくありませんでした。新卒で入社した会社で、定年まで勤め上げるというのが当たり前と思い込んでいました。
当時の時代背景から、私だけでなく多くの学生が似たような価値観や考えを持っていたと思います。私は22年間商社で働きました。その間、いろいろな人に出会い、さまざまな成功や失敗の経験をしてきました。精神的に成長し、人間的にも深みが増したと思います。今、自分自身に「なぜ働くのか」を問いかけるとすれば、答えは次の通りになります。
「世のため・人のため」とは、世の中や人の役に立ち、人から感謝されること。「自分の成長のため」とは、「世のため・人のため」に働いた結果、自分自身が成長するということを表しています。仕事のモチベーションの源は、「世の中や人の役に立っているという実感」と「働くことを通じて自分は成長しているという実感」の二つの「実感」にあると強く思います。繰り返しになりますが、働く動機は複合的なものであり、経済的な動機なども重要ではありますが、この「世のため・人のため」や「自分の成長のため」というのは、大切にすべき本質的な動機であると言えます。
「人生」「仕事」「働く」といったことは、本質的で壮大なテーマです。これらのテーマに関し、人生の先輩方のさまざまな経験に基づいた考えを学ぶことは、自分の考えに広さと深さを与えてくれるものです。尊敬できる人を見つけ、その人の話を聞いたり、そうしたテーマの本を読んだりすることをお勧めします。
【まとめ】
・働く理由や動機は、その時々のおかれている状況などにより変わり得るものだが、自分の人生に大きな影響を与える本質的なテーマである。
・一人で深く考え悩むことも大切だが、人生の先輩や、「人生」「仕事」「働く」をテーマとした良書から学ぶことをお勧めする。